テレビ部門グランプリ

2010年代

番組名、放送局 説明
2019 ETV特集 静かで、にぎやかな世界 手話で生きる子どもたち

(NHK)

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文化庁芸術祭賞ドキュメンタリー部門との2冠を達成した。

耳が聞こえない子どもたちが、手話で学ぶ学校に密着したドキュメンタリー。

手話に加えて表情や全身を使って伝える子どもの笑顔がいいな、先生や友達と軽口を飛ばし合うのは普通の学校と一緒だな、そんな健常者からの分かったような視点の感想を書こうと見ていた。途中までは。

中盤から、この学校を卒業した大学生の男性にも密着する。語弊を恐れず言えば、目が死んでいる。「耳が聞こえるようになる魔法の薬があれば?」の質問に、学校の子どもたちの多くは「今の自分が幸せだから飲まない」と答えたのに対し、男性の答えは……。

なぜ笑顔の子どもがこんな目になってしまったのか。そしてある出来事で男性に笑顔が。とにかく見てほしい。
2018 映像’17『教育と愛国~教科書でいま何が起きているのか』

(毎日放送)

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2017 NHKスペシャル『ある文民警察官の死~カンボジアPKO 23年目の告白~』

(NHK)
2016 報道ステーション『特集 ノーベル賞経済学者が見た日本』『特集 独ワイマール憲法の“教訓”』

(テレビ朝日)
報ステで放送された2つの特集。安倍政権の政策を批判的に検証した。  一つ目は、安倍晋三首相に「消費税増税の再延期」を進言したとされるノーベル賞学者に独自取材。学者がアベノミクスを疑問視し、税制改革を主張していたことを明らかにした。二つ目は、ヒトラーがワイマール憲法の国家緊急権を悪用して独裁政権を築いた経緯をメインキャスターの古舘伊知郎氏がドイツで取材。自民党が改憲草案で示した「緊急事態条項」の危険性を指摘した。

 ギャラクシー賞を主催する放送批評懇談会は、選出理由について「テレビは報じるべきを報じているか、国民の知る権利に応えているか、と問いかけられる中、重要課題を果敢に取り上げた」としている。同懇談会の関係者は「あくまでも番組の中身が選考基準。政治的スタンスは評価の対象ではない」と話す。

 だが、評価にはメッセージが付き物だ。隔月誌「放送レポート」編集長の岩崎貞明氏は「安倍政権に対して『これでいいのか』と問いかけたことが評価されたのだろう。『こんな番組をもっと作ろう』という同業者への叱咤(しった)でもある」と推察する。

 NHK「クローズアップ現代」で長くキャスターを務めた国谷裕子氏がテレビ部門特別賞に輝いたことも、今回のギャラクシー賞のメッセージ性をうかがわせる。

 国谷氏の選出理由は「スタジオでのインタビューが見どころのクローズアップ現代のキャスターを23年間務めた功績」と当たり障りのないものだが、国谷氏と言えば、菅義偉官房長官が出演した際、集団的自衛権の行使容認などについて厳しい質問を浴びせたことが記憶に残る。

 そんな古舘氏と国谷氏は2016年春、そろって番組を降板した。報ステやクロ現をめぐっては、右派論客らが名を連ねる任意団体「放送法遵守を求める視聴者の会」が、「政治的に公平」などと定めた放送法に抵触するなどと攻撃していた。

 贈賞式に毎年出席している月刊誌「創」編集長の篠田博之氏も岩崎氏と同様に、「政権批判が難しくなり、放送界が萎縮する中、テレビ人が気概を見せた」とみる。

 篠田氏が報ステや国谷氏の受賞とともに注目したのは、テレビ部門で優秀賞に決まった日本テレビ系「NNNドキュメント『南京事件 兵士たちの遺言』」だ。「受賞後のチーフディレクターが『忖度(そんたく)のその字もないような番組を作ってみたかった』とスピーチした。事実を積み重ねタブーに挑戦した。報道ステーションなどの受賞も含めて、今回の贈賞式は、これまで見た中で一番感動的だった。現場の人には心強かったはずで、選考側の見識に拍手を送りたい」

(東京新聞・2016年6月4日特報1面)
2015 QABドキュメンタリー 扉2014『裂かれる海~辺野古 動き出した基地建設~』

(琉球朝日放送)

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基地新設問題で対立する辺野古の状況を追った作品。政府の新基地建設の調査強行で反対、賛成に分かれた住民をとらえた。太平洋戦争の沖縄戦から米軍統治時代を経て、今なお続く基地の重圧が映像から伝わる。
2014 連続テレビ小説『あまちゃん』

(NHK)
東北を舞台に、悩みながら生きるヒロインたちに元気をもらった人は、どれだけいただろう。ブームの熱気は放送終了後も、しばらく冷めなかった。

 岩手を舞台に、能年玲奈さんが演じる引きこもりがちの東京の高校生、天野アキが、祖母・夏(宮本信子さん)の影響で海女になり、成長していく物語だ。驚いた時に連発される方言「じぇじぇじぇ」は流行語に。

 視聴率は17%未満(24日までの平均、関西地区、ビデオリサーチ調べ)。飛び抜けてはいない。でも関連CDはオリコンチャートで軒並み健闘。アキの母・春子を演じた小泉今日子さんの「潮騒のメモリー」は初登場2位。アルバム「あまちゃん 歌のアルバム」は1位に輝いた。キョンキョン(小泉さん)、人気女優の鈴鹿ひろ美を演じた薬師丸ひろ子さん。1980年代にアイドル的人気を博した面々が活躍した。

 能年さんの写真集も約5万部を売り上げた。「ヒロイン特化の写真集は事実上初めて」とNHK出版の担当者。約230種ある関連商品の売り上げも順調。岩手県内への経済波及効果は約33億円ともいわれる。

「あまちゃん」は男性の心をつかんだ。特に80年代アイドルに夢中になった40、50代が狂喜乱舞。夫婦仲がよくなったという人も。「夫婦でテレビを見て語り合うなんて何年ぶりか」と。

登場人物が薄っぺらじゃない。挫折や苦悩を抱え、人生は一筋縄ではいかないことを知っている。大震災という試練にも恨み言を言わず、日常を生きていくんだと。カフェを作ったりお座敷列車を走らせたりする姿がかっこいい。やっぱり笑って生きていきたい。
2013 NHKスペシャル シリーズ東日本大震災『追跡 復興予算19兆円』

(NHK)
2012 連続テレビ小説『カーネーション』

(NHK)
2011 NNNドキュメント’11『夢は刈られて 大潟村・モデル農村の40年』

(秋田放送)
米国型の大規模農業をめざし、干拓地に入植した3人の歳月を継続取材した。

 秋田県・八郎潟(はちろうがた)を干拓して作られた大潟村(おおがたむら)。大規模米作のモデル農村とされたが、減反政策が始まると入植者の夢は挫折する。

彼らの夢と情熱は、国の減反政策に翻弄される。徹底抗戦した1人は、契約違反で村を去る。1人は数千万円の借金を背負いながら、コメの市場開放に反対する。もう1人は産地直送会社を設立し、米粉づくりに活路を見いだす。地元に密着するローカル局ならではの、現場からの報告だ。

秋田放送は日本テレビ系「NNNドキュメント」だけでも約20本の農業ドキュメントを制作。政権交代で農業政策が変化したのを機に、40年の歴史をまとめた。

 減反のための青刈りを拒否し続けて最後は村を追われた農家や、米の輸入をやめるよう国に主張し続ける農業男性らを、3人のディレクターが長期取材。過去から現在までの経過を丹念に描いた。

 石川岳ディレクター(42)は「減反に反対する農家を追い続けた、ぶれない姿勢が信頼感を得た。地元放送局だから裏切らないと、信じてくれたのだろう」と語る。

日本の第1次産業をどう立て直したらいいのか。地域に根を張るジャーナリズムが粘り強く追い続け、全国に発信すべきテーマだ。

2011年のギャラクシー賞は、「テレビ」「ラジオ」「報道」の3部門の大賞を、地方民放局のドキュメンタリー、報道活動が独占した。地道な継続取材、取材者の執念、地元密着の視点。受賞3作品には地方局ならではの強みが凝縮されていた。

2010 ETV特集『死刑囚 永山則夫~獄中28年間の対話』

(NHK)
死刑か無期懲役か――。もし裁判員になって、そんな究極の選択を迫られたら、果たして判断を下せるだろうか。そんなことを考えさせられる作品。

 1968年、19歳の永山は連続して4人を射殺、翌年逮捕された。一審は死刑。二審は無期懲役。最高裁は高裁に差し戻し、高裁で死刑。最高裁で確定し、1997年に刑が執行された。

 番組は、永山が残した1万5千通の手紙や肉声テープ、獄中の永山と結婚し、後に別れた和美さんらの証言を通し、永山の心の軌跡に迫っていく。

 貧しい生い立ちから、いつ死んでもいいと公言し、激しい言葉で社会を糾弾していた永山が、和美さんと出会い、鎧(よろい)を脱いだように素直に悩みを打ち明け、生きて償おうと思うようになる。

 そしていま、あらゆる死刑判決で引用され、死刑の基準とも呼ばれる「永山基準」だが、それが示されるまでの曲折と関係者の苦悩を見ると、人を死刑にする画一的な基準などあり得ないと実感する。取材したフリーディレクターの堀川惠子さんは「不完全な人間が、不完全な人間を裁くことの大変さや重みを考えてもらいたい」と話す。

2000年代

番組名、放送局 説明
2009 ハイビジョン特集『“認罪”~中国撫順戦犯管理所の6年』

(NHK)
2008 裁判長のお弁当

(東海テレビ)
2007 NHKスペシャル『ワーキングプア~働いても働いても豊かになれない』

(NHK)
2006 金曜ドラマ『タイガー&ドラゴン』

(TBS)
2005 笑ってコラえて!文化祭 吹奏楽の旅 完結編 一音入魂スペシャル

(日本テレビ)
2004 とうちゃんはエジソン

(東海テレビ)
2003 ETV2003『アウシュヴィッツ証言者はなぜ自殺したか』

(NHK)
2002 TOYD

(WOWOW)
2001 BSドラマアベニュー『トトの世界~最後の野生児』

(NHK)
2000 サスペンススペシャル『刑事たちの夏』

(読売テレビ)